2004年08月14日

青天の霹靂

私個人はアンチナベツネの立場でしたし、退任は歓迎すべきニュースです。これは私自身が阪神ファンで巨人嫌いと言うことだけが理由ではありません(なぜなら阪神の久万オーナーも嫌いなので)。彼が影響を与えてきたことでプロ野球がどうなったか、この現状を見れば説明はあまりいらないと思いますが、改革改革という割には読売のみが利権を得る構造をつくりあげ、発言力のない球団は恫喝し、ファンや選手を見下すなど、褒め称える点が見つからないほどです。政治力こそありましたが、その力を公共の利益ではなく、自分の所属する団体の利益のみに利用したわけですから評価するわけにはいきません。
もちろん、彼一人がゆがんだプロ野球の責任者ではありません。人気チームのおこぼれをあてにしようと考えて企業努力をしない腰抜けオーナー。ビジョンがなく、所詮親会社からの天下りで腰掛け程度にしか考えていない各球団首脳。怪我で満足に出場できないのにメディアに持ち上げられる選手。そして、そういう選手にしか関心がなく、スポーツとしての楽しさに目を向けないファン。全ての人が責任を持つ中、負の部分を彼が一身に背負ってきたという面はあると思います。また、強力な悪役がいたからこそ、合併反対の世論が盛り上がったとも言えると思います。
が、悪役はやっぱり悪役で、決して主役になってはならない立場なのです。悪役は刺激を与えてくれるだけでいいのであって、悪役の言うがままに世界が動いてはその世界は滅びます。
今回の退任は、理由が正直よく理解できませんでした。はっきり言ってしまえば「今更この程度の裏金使ってましたと言うことを正直に告白してどうしたいのか?」ってところです。法や協約の隙間を縫って色々やってきておきながら、このタイミングで発表するというのが、どうにも理解に苦しむことなのです。
今書いたとおり、入団前の選手の裏金という話を、私自身はもう当たり前のことのように感じています。こうなっていること自体がゆがんでいる証拠です。おじさんになったからという理由もありますが、プロ野球を見て夢を感じるどころか、結局はマネーゲームの舞台にすぎないという現実を見続け、やや辟易しているのでしょう。ナベツネはそういうプロ野球の象徴だったわけです。
彼の退任は、良くも悪くもある時代の終焉を象徴しているのではないでしょうか。ただ、強力な悪役がいなくなったことで、盛り上がりつつある今後のプロ野球についての議論が沈静化しないだろうか。退任は歓迎といいつつも、その点では存在意義のある人物だったのかもしれません。

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