2005年02月10日

一太郎2005発売

ジャストシステムのメイン製品にして命綱的存在でもある一太郎の最新版「一太郎2005」が発売されました。松下電器との特許裁判に敗訴したことで、今回の発売がどうなることかと危ぶむ向きもあったようですが、何とか予定通り発売。
それにしても今回の裁判は、産業の発展と特許などの権利保護との関係について示唆するものが多く、Webでもかなりの議論ネタとなったようです。ただ、自分の考えに近いものしか読んでないからなのかもしれませんが、総じてジャストシステムに同情的な傾向を感じています。

有名どころではCNETJapan・江島健太郎さんのblog。ソフトウェア産業の発展を阻害する判決として、特許制度の問題点にまで論点を広げ、今回の判決を批判しています。ソフト業界の人ではありませんが、大西宏さんの「マーケティングエッセンス」でも松下に批判的な記事となっています。
お二方に共通しているのは、「この特許を松下が振りかざしたところで、ユーザーにとってメリットを生むものではなく、むしろ弊害を生んでいる」という点です。一企業の利益という目線でものを論じるならば松下電器のやり方はひとつの方法でしょうが、ソフト業界全体からすると大きな損失となりかねないという点を危惧されていると言うことです。
特許という制度は、物的資源に恵まれない日本が今後も技術立国であるために必要な制度であることは確かでしょう。ただ、江島さんのエントリーにもあるように

特許は、守らねば潰されてしまうような個人や弱い立場の企業を保護し、発明を奨励することで、最終的に産業全体が活性化しますようにという期待を込めて、そのための手段として誕生したのではなかったか。

であるはず。今回の判決は、特許の持つ本質的な目的を見失ったものなのではないでしょうか。

(同上:江島さんのエントリーより)
「松下電器がジャストシステムをひねりつぶしたら産業全体が活性化されるんですか?」という質問ひとつで原理的な矛盾が導かれそうなものだが、どうもそういう明晰な議論はどこにも見えない。

これこそ、今回の判決に違和感を覚える人の根底に流れる問題意識なのです。

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